前回はこちら![大学力学]1-4. 単振動
前回単振動扱いましたので今回は強制振動と減衰振動を学んでいきましょう。
減衰振動
まずは減衰していく振動を見ていきましょう。
減衰する原因は空気抵抗であることが多いです。
空気抵抗は速度に比例する関数であるため、 \(b\dot{x}\) で表すことにします。
そうすると運動方程式は
$$m\ddot{x} = -kx-b\dot{x}$$
になります。
左辺は質量×加速度
右辺が復元力×変位と空気抵抗です。
これをすべて左辺に持っていきます。
$$m\ddot{x} +kx+b\dot{x} =0$$
これは二階同次線形微分方程式です。
二階は2回微分の意味。同次は右辺がゼロのときを指します。また、線形は1次関数で表せることを意味します。(長いですが覚えてください)
これを解くには
$$x = \exp(\lambda t)$$
と置けば解けます。
代入してみると
$$\lambda^2 m \exp(\lambda t)+k\lambda \exp(\lambda t)+b\exp(\lambda t) = 0\\ \lambda^2 m+k\lambda +b = 0$$
このようになれば2次方程式の解の公式を使えば解けますよね。
しかし、 \(\lambda ^2\) についている質量 \(m\) が邪魔ですので次のように変形してください
$$\gamma = \frac{b}{2m},~~~\omega_0 = \sqrt{\frac{k}{m}}$$
このようにすれば
$$\lambda^2 +2\gamma_0 \lambda +\omega^2 = 0$$
みやすくなりました。
これを2次方程式の解の公式を使って解くと
$$\lambda_{\pm} = \frac{-b\pm \sqrt{b^2-4mk}}{2m}$$
が得られます。
\(\lambda\) が実数根か重根か、複素根のいずれかによって性質が違います。
ではひとつひとつ見ていきましょう。
実数根のとき( \(b^2-4mk>0\))
一般解は
$$x = A\exp(\lambda_+ t)+B\exp(\lambda_- t) $$
で与えられます。
しかしこのとき \(\lambda_{\pm}<0\) であるため、指数関数的に減衰します。これは過減衰と呼ばれます。
重根のとき (\(b^2-4mk=0\))
重根の時は \(\lambda_+ = \lambda_- \) ですので
$$ \lambda_+ = \lambda_- = -\frac{b}{2m} $$
となります。
また、一般解は
$$y = (At+B)\exp(-\gamma t)$$
です。(重解の時はこのような形になります。)
これは臨界減衰と呼ばれます。
臨界減衰のとき変位は最も早く0に近づきます。
複素根 (\(b^2-4mk<0\)のとき)
$$\lambda_{\pm} = -\gamma\pm i\omega$$
ただし \(\omega = \sqrt{\omega^2_0-\gamma^2}\) です。このとき一般解は次のように導けます。
\begin{align}y &=A\exp(\lambda_+t)+B\exp(\lambda_-t) \\ &=A\exp((-\lambda_+i\omega)t)+B\exp((-\lambda_-i\omega)t) \\ &=\exp(-\gamma t)(A\exp(i\omega t)+B\exp(-i\omega t) \\ &=C\exp(-\gamma t)\cos(\omega t+ \phi)\end{align}
今出てきた \(A, B, C, \phi \)は任意の定数です。
また、最後の式変形は三角関数の合成を使いました。
このときは時間とともに減衰するので減衰振動と呼ばれます。
強制振動
強制振動とはその名の通り、外部から強制的に振動させた場合の運動です。
小球にばねを付け、その小球を \(A\cos\omega t\) で振動させた場合を考えます。
小球の運動方程式は
$$m\ddot{x} = -k(x-A\cos\omega t-x_0)-b\dot{x}$$
です。
ここで新たな変位を導入します
$$y = x-x_0,~~~ka = F_0$$
と置いてみましょう。そうすると
$$m\ddot{y} = -ky-b\dot{y}+F_0\cos\omega t$$
となります。さらに、また置き換えます。
今度は
$$\gamma = \frac{b}{2m},~~~\omega = \sqrt{\frac{k}{m}}$$
とすると
$$\ddot{y} +2\gamma\dot{y}+\omega^2_0y=\frac{F_0}{m}\cos\omega t$$
となります。このようにしたのには理由があります。
上の式は2階の非同次線形微分方程式ですよね。
この解は上の式の同時方程式を考え、それに特殊解を加えたものが一般解になります。
$$\ddot{y} +2\gamma\dot{y}+\omega^2_0y=0$$
同時方程式については上記の減衰振動で出したものです。
というわけで特殊解を求めてみましょう。
特殊解とは初期条件や境界条件を入れて求めた解のことです。
特殊解は微分方程式に注目して頑張って探すしかないないですね…
今回は答えだけ書きます。
特殊解を \(y_a\) と置くとき、次のようにしてみましょう。
$$y_a = A\exp(i\omega t)$$
これを代入します。
$$A\exp(i\omega t)(-\omega^2+2\lambda i+\omega^2_0) = \frac{F_0}{m}\cos(\omega t)$$
指数関数が邪魔ですね…。
消去します。右辺に \(\sin(i\omega t)\) を加えます。
そうすると
$$A\exp(i\omega t)(-\omega^2+2\lambda i+\omega^2_0) = \frac{F_0}{m}\exp(i\omega t)$$
これで消去できます。
Aについて整理すると
$$A = \frac{F_0}{m} \frac{1}{\omega_0^2-\omega^2+2\gamma \omega i}$$
よって特殊解は
$$y_a = \frac{F_0}{m}\frac{1}{\omega_0^2-\omega^2+2\gamma \omega i}\exp(i\omega t)$$
が出てきますが、虚部を捨てたいのでまた変形します。
$$y_a = \frac{F_0}{m}\frac{1}{\omega_0^2-\omega^2+2\gamma \omega i}\exp(i\omega t)$$
$$y_a = \frac{F_0}{m}\frac{\omega_0^2-\omega^2-2\gamma \omega i}{(\omega_0^2-\omega^2)+4\gamma^2 \omega ^2}\exp(i\omega t)$$
$$y_a = \frac{F_0}{m}\frac{1}{\sqrt{\omega_0^2-\omega^2+2\gamma \omega i}}\exp i(\omega t+\phi)$$
はい。実部のみをとりだして
$$y_a = \frac{F_0}{m}\frac{1}{\sqrt{\omega_0^2-\omega^2+2\gamma \omega i}}\cos(\omega t+\phi)$$
長かったですがこれで終了です。
まとめ
今回は振動を見ていきました。
式変形等が少し複雑になってきましたね…
常微分方程式については解法を覚えてください