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[大学力学]1-1.変位と速度と加速度

投稿日:2020年10月1日 更新日:

今回から大学で学ぶ力学の解説をしていきます。

最初は変位と速度と加速度を扱います。

高校力学と一緒ですね。内容自体は難しくないですが、微積とベクトルの知識がなければ躓きます。

自信がない人はまず数学を勉強しましょう。

 

 

変位と速度

まずは変位から

変位とは位置ベクトルの差のことを指します。

位置ベクトルはその名の通り、位置をベクトルで表したものです。

変位を式で書くとこのようになります。

$$\Delta \mathbf{r} = \mathbf{r_1} – \mathbf{r_2}$$

 

ではこの変位に \(\frac{1}{\Delta t}\) をかけたものを考えてます。

\(\Delta t\) を十分短く考えた時、 \(\Delta \mathbf{r}\) は時間 \(\Delta t\) 秒間に動いた距離になります。

 

距離を時間で割れば速さになりますよね。

ここでの極限を考えると \(\mathbf{r}_2\) -> \(\mathbf{r}_1\) であるから

$$\mathbf{v} = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{\Delta \mathbf{r} }{\Delta t} = \frac{d\mathbf{r}}{dt}$$

になります。

これが変位と速度の関係です。

 

 

速度の成分と位置の関係

速度と速さの違いは何でしょうか?

速度はベクトルで速さはスカラーです。

ちなみに速度を英語で \(vector\) で、速さは \(speed\) です。

このページでは基本的に速度を取り扱いますので \(\mathbf{v}\) を用います。

 

変位と速度の関係を見ていきましょう。

変位を i, j, k 方向に分けて考えると

$$\Delta \mathbf{r }= \Delta \mathbf{i}+ \Delta \mathbf{j} + \Delta \mathbf{k} $$

となります。極限を考えると

$$v = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{\Delta \mathbf{r}}{\Delta t}= \frac{dx}{dt}\mathbf{i} + \frac{dx}{dt}\mathbf{j} + \frac{dx}{dt}\mathbf{k }$$

になります。

 

成分ごとに分けてみましょう。

$$v_x = \frac{dx}{dt},   v_y = \frac{dy}{dt},   v_z = \frac{dz}{dt} $$

となりますよね。

これで速度の成分と位置の関係を出せました。

 

 

加速度

 

さてさて、次は加速度を考えましょう。

速度の時間的変化を表すベクトルとして加速度が \(a\) 定義されます。

 

$$a = \lim_{\Delta \to t} \frac{\Delta \mathbf{v}}{\Delta t} = \frac{d\mathbf{v}}{dt}$$

 

ここから加速度と位置の関係を見ていきたいため、図のような質点が円上を運動する状況を考えましょう。

\(P_1\) を通るときその速度を \(v\) とし、 \(P_2\) を通るときの速度を \(v+\Delta v\) とする。また、それらの間の角を \(\theta\) とします。

\(\Delta v\) を \(v\) に平行な成分 \(\Delta v_t\) と垂直な \(\Delta v_n\) 成分に分けます。

\(\Delta \theta\) は十分に小さい角ですので

$$\Delta v_n = v\Delta \theta$$

とみなせます。( \(\Delta v sin \theta  \approx \Delta v \theta = n_n\) となりますよ)

 

\(P_1\) から \(P_2\) までの長さを \(\Delta s\) とすると \(\Delta s = R\Delta \theta\)となります。

( \(R\times tan\theta = \Delta s\) より \(tan\theta\) は非常に小さいので \(\tan\theta = \tan\theta\) とみなせますよ)

急に出てきましたが \(R\) は円の半径です。

 

\(v_n\) と \(\Delta s\) の関係は

$$\Delta v_n = v\Delta \theta = \frac{v}{R}\Delta s$$

ですから加速度の法線成分が分かります。

$$a_n = \lim_{\Delta t \to 0}\frac{\Delta v_n}{\Delta t} = \lim_{\Delta t \to 0}\frac{v}{R}\frac{\Delta s}{\Delta t} = \frac{v^2}{R}$$

はい。これが加速度の法線成分で、高校力学にもよく出てきた関係式です。

円運動を考えるときによく出てきましたよね。

 

では次に接線成分を出しましょう。

$$a_t = \lim_{\Delta t \to 0}\frac{\Delta v_t}{\Delta t} = \lim_{\Delta t \to 0}\frac{v}{t} = \frac{v}{t} = \frac{d^2s}{dt^2}$$

これで位置と加速度の関係が導き出せました。

位置を時間で2回微分すれば加速度になるのですね。

 

 

まとめ

 

今回は位置、速度と加速度の関係を見ていきました。

時間で微分すれば出てくるので、覚え方としては簡単ですね。

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