前回はこちら!
今回は静電場を学ぶうえで、最も重要な公式であるガウスの法則を学びます。
でもその前に電気力線を紹介します。
電気力線
電気力線とは電場の様子を線で描いたものでして、点電荷から四方八方に出ています。
もちろん電場は目に見えない存在ですので、それを視覚的にわかりやすくしたものと考えてください。
その電気力線の本数を \(N\) 本とすれば電気力線の密度は
$$\rho = \frac{N}{4\pi r^2}$$
となります。
突然出てきた \(4\pi r^2\) は球の表面積です。
つまり、電気力線の密度が大きい(電場が強い)場所というのは点電荷の周辺であることが分かり、逆に点電荷から離れている場所では電気力線の密度が小さい(電場が弱い)ことが分かります。
ガウスの法則
電磁気学において重要なガウスの法則が出てきます。
積分系で書くと
$$\int_s\vec{E}(\vec{r})\cdot\vec{n}(\vec{r})dS = \frac{1}{\epsilon_0}\int_V\rho(\vec{r})dV$$
となります。
説明します。
ガウスの法則積分系
まずは空間に電荷 \(q\) があるとします。
その電荷が空間に存在する一つの閉曲面を貫く電気力線の数を考えましょう。
曲面を分割しましょう。そして一つの微小な面積 \(\Delta S\) に着目します。
曲面は通常曲がっていますが、 \(\Delta S\) が十分小さければ平面とみなせます。
ここを電場 \(E\) が貫くときを考えます。
電場と曲面の法線とのなす角を \(\theta\) としましょう。
また、この微小面積を貫く電気力線の本数を \(\Delta N\) とします。
条件が多いのですが頑張って理解してください。
この \(\Delta N\) 本の電気力線に垂直な面を \(\Delta S’\) とするとその面積は
$$\Delta S’ = \Delta S\cos\theta$$
となります。
電気力線の密度は
$$\frac{\Delta N}{\Delta S’} = \frac{\Delta N}{\Delta S \cos\theta }$$
です。
電気力線の密度は電場の強さに比例するので、比例定数を k とすると
$$kE = \frac{\Delta N}{\Delta S \cos\theta }$$
となるので \(\Delta N\) は
$$\Delta N = kE\Delta S \cos\theta $$
となります。ここで曲面上の各点に垂直な単位ベクトルを \(\vec{n}\) とすると
$$E\cos\theta = \vec{E}\cdot\vec{n}$$
となります。
いま微小面積 \(\Delta S\) 一つを考えたのでこれを曲面全体になるように足し合わせます。
そうすると閉曲面全体を貫く電気力線の本数が出てきます。
電荷がない場合
もし、電気力線がない(つまり電荷がない)とすると
$$k\sum^m_i \vec{E}\cdot\vec{n}\Delta S = 0$$
です。
ここで \(\Delta S \to 0\) の極限を考えると和のシグマが積分になります。よって
$$\int_S \vec{E}\cdot\vec{n}dS = 0$$
となります。
ようやくガウスの法則の左辺が出ました。
インテグラルの右下に S が書かれていますね。
これは面積分を意味します。
電荷がある場合
電気力線がある(つまり電荷がある)とすると
$$\int E dS = \frac{q}{\epsilon_0}$$
です。
いま、点電荷ひとつの場合を考えましたが、今度はそれら全部を足し合わせた場合を考えます。そうすると
$$\int_S \vec{E}\cdot\vec{n}dS = \frac{1}{\epsilon_0}\sum_i q_i$$
となります。
かなり見えてきました。あともう一息です。
今考えたのは点電荷の場合でしたので、最後に電荷密度 \(\rho\) で空間に分布している場合を考えましょう。
そうすると
$$\int_S \vec{E}\cdot\vec{n}dS = \frac{1}{\epsilon_0}\int_V\rho(\vec{r})dV$$
となります。
右はのインテグラルの右下に \(V\) が付いています。
これを体積積分といいます。
そしてこれがガウスの法則の積分系になります。
まとめ
今回はガウスの法則について勉強しました。
電磁気学で重要な法則ですので是非覚えてください!