今回は質量欠損について取り扱っていきます。
前回はこちら!5-4.原子核と放射線
質量欠損
質量欠損
陽子2個と中性子2個からなるヘリウム \({}^4_2He\) があるとします。
陽子の質量を \(m_p\)、中性子の質量を \(m_n\) とした時に原子核全体の質量 \(M\) は
$$M = 2m_p + 2m_n$$
とはなりません。
実は陽子と中性子の質量の合計より、 \(\Delta M\) ほど軽くなります。
これを質量欠損といいます。
では、その差 \(\Delta M\) はどのくらいなのかといいますと
$$\Delta M = 2m_p + 2m_n-M$$
で表されます。
一般化しましょうか。
原子番号 \(Z\) 、質量数 \(A\) の原子核の質量を \(M\) としたとき、質量の差は
$$\Delta M = Zm_p + (A-Z)m_n-M$$
で表されます。
結合エネルギー
さきほどの質量欠損はあの有名な式に関係しています。
アインシュタインが提唱した質量とエネルギーが等価であることを表した式
$$E = mc^2$$
があることはご存知でしょうか。
こちらの式と関係があります。
原子核がバラバラなときとくっついているときのエネルギーの差を \(\Delta E\) とすると、
$$\Delta E = \Delta mc^2$$
となります。
ここにでてきた \(\Delta M\) が質量欠損に当たります。
なお、このエネルギーの差 \(\Delta E\) を結合エネルギーと呼びます。
核反応
ある原子核に大きなエネルギーを持った別の原子核が衝突すると核子(原子核)の入れ替えが起こり、さらには核種(原子の種類)が変化することがあります。
これを核反応といいます。
また、核反応によって、放出、吸収されるエネルギーのことを核エネルギーといいます。
このエネルギーの単位にはよく MeV が使われます。
MeV はメブと呼ぶのが一般的(?)です。
ただしくは「メガエレクトロンボルト」のことで、メガは \(10^6\) を示すことで知られています。
エレクトロンボルトとは1ボルトの電圧を1つの電子に印加したとき、その電子が持つエネルギーのことを表しています。
(ややこしいですが原子の分野ではよく使われます。)
この定義は覚えてください。
核分裂と核融合
最後に核反応を見ましょう。
まず、核分裂とはその名の通り、1つの原子核が、複数の原子核に分裂する反応のことを言います。
質量数の小さな原子核どうしが結合すると、エネルギーが放出されます。この現象を核融合といいます。
まとめ
今回は質量欠損や結合エネルギーについて見ていきました。
次回素粒子について学びますが、入試にはほとんど出ません。
今回までの内容を復習し、問題をたくさん解いてください!
次回はこちら!5-6.素粒子