前回はこちら!5-1.電子と光電効果
今回はX線を見ていきます。
現在ではその正体が分かっていますが、当時は正体が不明だったのでx線と呼ぶようになりました。
(xは数学で未知数を表すときによく使いますよね。)
また、後半は粒子性と波動性の二重性について学びます。
受験にはあまり出てきませんが、物理では超重要です!
X線
レントゲン写真で有名なレントゲンさんがX線を偶然発見しました。
色々調べた結果X線について以下のようなことが分かりました。
・電場や磁場によって曲げられない。
・結晶によって回折や干渉する
・強い透過性を持つ
この後も様々な実験をした結果X線は電磁波の一種であることが分かりました。
X線の強さと波長の関係をグラフ化すると不連続な部分が出てきます。
この不連続部分の近くにある、特定の強い波長X線を特性X線といいます。
この特性X線の波長はX線を発生させる装置に使われる金属の種類によって決まっています。
この値を覚える必要はないでしょう
一方不連続でない部分のX線を連続X線といいます。
ラウエの実験
ラウエの実験はX線の干渉に関する実験です。
硫化亜鉛の結晶に連続X線を当てると写真フィルム(カメラの映像を記録するもの)にラウエ斑点と呼ばれる回折像が現れます。
回折が起こるということはその正体は波であることを意味します。
そのためX線は波の性質を持つことが分かりました。
そしてこのような現象をX線回折と呼びます。
ブラッグの実験
ブラッグ父子はX線を利用して結晶の構造を調べました。
結晶の正しく並んでいる面(格子面)にX線を当てると結晶の原子によって散乱されます。
この時、X線が強め合う条件を見ていきましょう。
格子面の間隔をd,X線の波長を\(\lambda\)とすると次の関係式が成り立ちます。
$$2d\sin\theta = n\lambda$$
この反射をブラッグ反射といいます。また、角度\(\theta\)をブラッグ角といいます。
ブラッグの実験は結晶の構造は特定するときのよく使います。
入試でも見かけます、そこまで難しい内容ではないのでマスターしましょう!
コンプトン効果
さて、先ほど述べたとおり、X線は波動性を示しますが、この実験から別の性質が見えてきます。
物質にX線を当てた時散乱するX線の中には入射X線よりも波長の長いものが含まれます。
つまり、物質にぶつかることで波長が長くなったのです。X線を波として考えるとこれはおかしな現象です。
物質に波が当たっても波長は変わりません。
そこでコンプトンさんはアインシュタインの唱えた光量子仮説に基づき、この現象を説明しました。
数式で表すと、
$$p=\frac{h\nu}{c}=\frac{h}{\lambda}$$
波として考えるのではなくて運動量を持つと考えます。
これにより波長が変わる理由を説明できます。
なお、この現象はコンプトン効果と呼ばれます。
粒子の波動性
X線はラウエの実験から波動性を、コンプトン効果からは粒子性を持つことが分かりました。
ではほかにも粒子性と波動性を持つ物質があるのではないか?と考えたのがド・ブロイです。
ド・ブロイは電子にも同じような性質があると考え、電子の波動性を次の式で表しました。
$$\lambda = \frac{h}{p}$$
この波を物質波と呼びます。
ちなみに他の人(デビッソンとガーマー)がこの式が正しいことを証明しました。
つまり、電子も粒子性と波動性を兼ね備えた性質を持つことが分かりました。
実は電子だけでなく、他の粒子や光もこの性質を持ちます。
干渉などの波としての性質を持ちながら、衝突し、エネルギーが減ったりする粒子性も兼ね備えています。
このことを粒子性と波動性の二重性と呼びます
まとめ
今回はX線の性質から始まり、二重性の話までしました。
なぜこのような性質があるのかを完璧に説明することはできません。
しかし、少しでも興味を持ったらぜひ大学で勉強しましょう!
次はこちら!5-3.ボーアの原子模型