このページではみんな大好き「物理のエッセンス」四訂版について解説します。
物理のエッセンスの全体像
物理受験生の間ではかなりの人気、知名度を誇る参考書「物理のエッセンス」の難易度や問題量について説明していきます。
「物理のエッセンス」の全体像がこちらです(個人的感想)
項目 | 星の数 | 説明 |
難易度 | ★★☆☆☆ | 模試で50点程度の人から |
到達度 | ★★★☆☆ | 模試で80点程度を狙えるレベルに |
必要時間 | ★★★★☆ | 2冊で問題数430問程度の多さ |
有名度 | ★★★★★ | 物理の参考書では非常に有名 |
図の多さ | ★★★★☆ | 作者曰く図をふんだんに使っています |
「力学・波動編」と「熱・電磁気・原子編」の2種類あります。両方とも作者が同じで構成も同じです。
問題数は例題、演習問題を含み以下のようになっています。
分野 | 例題の数 | 演習問題の数 |
力学 | 30問 | 114問 |
波動 | 10問 | 70問 |
熱 | 9問 | 33問 |
電磁気 | 31問 | 95問 |
原子 | 4問 | 40問 |
2冊の合計は約430問です。
(まあ、数え間違いがあるかもしれませんが…)
問題数が多く時間がかかりますが、難関校を目指すなら遅くても夏休み中に終えられるように、私立中堅校をめざすなら秋頃には終わらせましょう!
エッセンスは初心者向け?
今でもたまに「エッセンスは基礎固めにいいし、よくまとまっているから独学の一冊目におすすめです!」みたいな記事を見かけますが、賛成はできません。
確かにもとから数学や物理がものすごく得意な人には一冊目でもよいのかもしれませんが、私は初学者にはお勧めしていません。
その理由として他の参考書とページの厚さを比べてみましょう。
「宇宙一わかりやすい高校物理」という初学者むけの参考書は2巻合わせて全部で約1000ページあるのに対して、エッセンスは半分もないくらいの薄さです。
具体的には物理のエッセンスも2巻ありますが、両方合わせて320ページくらいの厚さしかありません。
つまり、初学者向けに作られている「宇宙一わかりやすい高校物理」の3分の1すらないということです。
そして、薄いということは書いてある量が少ないということです。
ではどこが省かれているのでしょうか?
これは「物理のエッセンス」の最初に書かれていますが、教科書に載っているような基本的な用語の説明などが省かれています。
物理のエッセンスには教科書に載っているような内容が書かれていない?
「物理のエッセンス」の表紙は「1,2,8,9,10」という数字が書かれています。
これは入試問題を解くうえで10段階の知識が必要だとすると、ものすごく基本的な、教科書などでも説明が省かれている1と2の部分、それに実践問題を解くために必要な知識である8、9、10をこの本に載せているということらしいです。
では3~7はどうしたのかというと、教科書に任せた。と書かれています。
したがって、3~7の知識は教科書に載っているのでそれを利用して補ってください。ということです。
そのため、教科書や、わかりやすい参考書を1冊こなしたうえで取り組むんだ方が良いと思います。つまり、「物理のエッセンス」は1冊目ではなく2冊目以降に使うべきだと個人的には思います。
参考書…というよりは問題集?
力学は8ページから始まって93ページで終わります。
例題の数は30題で、演習問題の数は114題、合計144題です。(数え間違えがなければ)
これだけ問題量があると参考書…というより問題集なのでは?と思ってしまいました。
では説明がほとんどないのかというと、そうではありません。これから学ぶ内容の考え方の流れや図が一応書かれています。
しかし、詳しく書いてあるのではなくて必要なところだけを取り出して「よくまとめている」と思います。(エッセンスという言葉が本質を意味しますからね!)
難易度は?
「物理のエッセンス」は4種類の問題があります。それが
- 例題
- 問題(無印)
- 問題(星ひとつ)
- 問題(星ふたつ)
です。
例題は非常に基礎的な内容がそろっています。丁寧な解説がついているため、 中堅私立を狙う人なら、 初見で解けなくても入試の数か月前、つまり、秋の前くらいまでには絶対に解けるようにしてほしいレベルです。この例題を通して公式の意味、使い方を理解してください。
問題(無印)は例題と同じくらいのレベルです。 答えだけ見ると公式を書いてそれを式変形するだけなのですが、ヒントなしで解くとなると難しく感じます。例題を通して学んだ知識を生かし、これも秋までにはとけるようにしてほしい問題です。
問題(星ひとつ)は設定が少し複雑に見えますが、共通テスト(センター)でも出そうなレベルの問題があります。そのため、ここまで完璧に解けるようになれば模試や共通テストで高得点を狙えるようになるでしょう。
問題(星ふたつ)問題文が2,3行で短いのですが、図が書きにくかったり、力がどこに働いているのかが分かりにくいです。これができるようになれば「重要問題集」「良問の風」などにうつれます。
まとめ
模試で50~60点程度取れる人がさらなる基礎固めとして使うのによい参考書だと思います。問題数が多いので時間がかかってしまいますが、是非おすすめしたい一冊です!
物理のエッセンスはこちら!
物理のエッセンス 力学・波動 (河合塾シリーズ) 物理のエッセンス 熱・電磁気・原子 (河合塾シリーズ)
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