前回はこちら!1-8円運動
今回は単振動について学びます。
入試に問題にも良く出ますし、大学で学ぶ物理学にもたくさん出てきます。
用語集
まずは簡単に用語を覚えましょう!
用語 | 説明 | 用語 | 説明 | |
単振動 | 正弦関数で表される周期運動 | 振幅 \(A\) [m] | 振動の大きさ | |
角振動数 \(\omega\)[rad/s] | 回転の速度を表す、角周波数ともいう | 位相 \(\omega t\) [rad] | 物体がどのような振動状態にあるのかを表す | |
周期 \(T\) [s] | 振動が一往復するのに必要な時間 | 振動数 \(f\) [Hz] | 1秒間に振動する数 | |
復元力 \(F\) [N] | 物体がつり合いの位置に戻ろうとするときに働く力 | 振り子の等時性 | 振り子の周期が振幅によらず一定であること | |
ばね振り子 | ばねに物体を付けて往復運動する装置 |
しっかり覚えましょう!
単振動とは?
等速円運動している物体に真横から平行な光を当てた時の正射影の運動が単振動になります。
この振動は三角関数を使って表すことができて
$$x=A\sin(\omega t+\theta_0)\tag{1}$$
となります。
ここで \(x\)[m] は位置、\(A\)[m] は振幅、\(\omega t\) は位相[rad]、\(\theta _0\) は初期位相[rad]です。
ここから位相という言葉が出てきます。位相とは回転角を表しており、時間tのときに物体がどのような状態(変位と速度)にあるのかを示しています。
単振動は物理学において重要な運動ですのでマスターしましょう!
単振動の速度と加速度
「位置」と「速度」、「加速度」の関係は微分を使うと覚えやすいです。
理系の3年生なら微積分のやり方は分かると思います。(わからなかったらまずい!)
それ以外で微分が分からない人は式をそのまま覚えるしかないですかね…。
「位置」「速度」「加速度」にはこのような関係があります。
$$a=\frac{dv}{dt}=\frac{d^2x}{dt^2}\tag{2}$$
「位置」を時間tで1回微分すると「速度」になります。また、「速度」を1回時間微分すると「加速度」になります。これより、
$$x=Asin(\omega t+\theta_0)\tag{3}$$
と定義すると速度と加速度は
$$v=A\omega \cos(\omega t+\theta_0)\tag{4}$$
$$a=-A\omega ^2sin(\omega t+\theta_0)\tag{5}$$
となります。(sin\(Bt\)を微分するとBcos\(Bt\)になりますよ!)
そのため加速度と位置の関係は式\(3\)と\(5\)より
$$a=-\omega ^2x\tag{6}$$
になります。この加速度を運動方程式に代入して周期を導こうと思います。
$$F=ma=-m\omega^2x\tag{7}$$
ここで\(m\omega^2=K\)(Kは正の定数)とおくと
$$F=-Kx\tag{8}$$
この式\((8)\)はフックの法則ですね。
単振り子の考え方
上のような図を考えます。このおもりが単振動のような往復運動をするのでよく取り上げられます。
張力Tと重力の張力方向の成分 \(mg\cos\theta\) は釣り合っています。
水平成分の力 \(F\) は
$$F=-mg\sin\theta=-\frac{mg}{l}x\tag{9}$$
これを式(8)と比べると周期 \(T\) は
$$T=2\pi \sqrt{\frac{l}{g}}\tag{10}$$
この式から円周率 \(π\) と重力加速度 \(g\) は一定ですので、振り子の長さだけで決まることが分かりました。
これを振り子の等時性といいます。
ちなみにひもが長ければ長いほど周期(一往復して戻ってくるのに必要な時間)が長くなりますね。
単振り子は周期 \(T\) を導出しなさいという問題が良く出ます。
問題
問題を解いてみましょう。
ばねに小球が付いていて、単振動しているという問題です。
単振動の周期を求めるにはこの式を使いますよね。
$$T=\frac{2\pi}{\omega}$$
しかし角振動数が分からないのでまずはこれを求めていきましょう。
ばねが出た時にはフックの法則が使えるので力のつり合いの式を考えます。
$$ma=-kx$$
$$a=-\frac{k}{m}x$$
ここで位置と加速度の関係 \(a=-\omega^2x\) を思い出してください。
こちらを使えば、
$$\omega^2=-\frac{a}{x}$$
$$\omega^2=\frac{k}{m}$$
したがって
$$\omega=\sqrt{\frac{k}{m}}$$
$$T=\frac{2\pi}{\sqrt{\frac{k}{m}}}$$
$$T=2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$
でました。これが周期です。
まとめ
今回は単振動について勉強しました。
大学で学ぶ物理において、単振動は力学だけでなく波動、電磁気にも出てくる重要な運動です。そのため大学教授にとっては出題したくなる分野の一つです。
微分の知識があれば式を覚えるのが楽になるので、数学の知識が必要でしたね。
次は1-10万有引力です!